発達障害チェック

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発達障害のチェックは、どのようにして行う? チェック方法について解説

公開日
更新日

 
執筆:須賀 香穂里(ライター)
医療監修:株式会社とらうべ
 
 
アスペルガー症候群をはじめとした自閉症スペクトラム障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)に代表される発達障害。
 
「私は人とは違うかも」「普通に接しているはずなのになんだかうまくいかない」といった悩みや不安から、「発達障害かも…」と考える人も多いのではないでしょうか。
 
自分や子供が、発達障害かどうかをチェックするのにはどうしたらいいのでしょうか。
 
ここでは、発達障害全般について説明をし、更に 発達障害のチェック 方法や診断、治療等について述べていきます。
 
 

発達障害とは?

 
発達障害者支援法(2016年6月最終改正)では、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群、そのほかの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。
 
一方、『DSM-5(精神疾患の分類と診断の手引き;最新版)』では、「神経発達症群・神経発達障害群」と改名され、知的能力障害群、コミュニケーション障害群、自閉スペクトラム障害、注意欠如多動障害、限局性学習障害、運動障害が入っています。
 
さらに、WHOによるICD-10(国際疾病分類第10版)では、カテゴリーF(精神および行動の障害)の中に、知的障害(精神遅滞)、心理的発達の障害、小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害が、中項目として分類され、それぞれに小項目としてさまざまな発達障害が規定されています。
 
このように、発達障害については現在も、基準が流動的だと言えるでしょう。新旧の診断名が統一されないまま現場で用いられていることもまだあるようです。
 
そのような中、発達障害に共通する特徴として、次の3つがポイントとされています。
 

  • ・脳(中枢神経系)の機能障害があること
  • ・原因はさまざまながら、乳幼児期に行動特性や症状が現れる
  • ・行動特性は病気の症状のように進行していくものではなく、本人の発達や周囲からの働きかけで変化する(=早期発見や早期対応の重要さ)

 
ちなみに、2012年に文部科学省が行なった実態調査では、小中学校に該当児童・生徒が61万人いたとのこと。
 
内訳は重複障害も含めて、学習障害(4.5%約42万人)、注意欠如多動症(3.1%約29万人)、自閉スペクトラム症(1.1%約10万人)という結果でした。
 
さらに、最近メディアなどでも発達障害が取り上げられることが多くなり、子どもの頃には気がつかないままに、生きづらさを経験してきて、大人になって社会的不適応が明らかになって、発達障害と診断されるケースが増えています。
 
 

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発達障害の分類と特徴

 
おもな発達障害とその特徴について概観しておきましょう。
 

知的障害

 
知的能力が低い、社会生活への適応能力が低い、18歳未満の発症であるという3点を中核とする知能の障害。IQ(知能指数)や適応機能の評価によって確認されます。
 

自閉スペクトラム症(ASD)

 
自閉症には知的障害ある「低機能自閉症」と、知的障害をともなわない「高機能自閉症」とに分けられます。前者が全体の約8割を占めます。
 
『DSM-5』では、「対人関係の質的障害」と「こだわりや感覚過敏」との二つの基軸によって、重度から軽度までを連続体としてとらえる「スペクトラム」という考え方をして、この障害の個別性を理解しようと努めています。
 
一般に自閉症には、3つの行動特性があるとされてきました。
 

  • ・ことばの遅れ
  • ・コミュニケーションの困難さ
  • ・特定のモノ・場所・行為へのこだわり

 
また、高機能自閉症で、軽度のレベル1として「アスペルガー症候群」が有名です。
 

注意欠如多動症(ADHD)

 
注意力散漫、落ち着きのなさ、思慮のない行動と、不注意・多動・衝動性を特徴とするセルフコントールの障害がADHDといえるでしょう。作業記憶など課題を遂行する時に必要な脳の機能を「実行機能」と呼びますが、この働きが弱いと言われています。
 

学習障害(LD)

 
おもに「読む」「書く」「計算する」の3つの学習のどれかに著しい困難があって、努力しても学習成果が上がらない障害です。
 
とくに、「読む」「書く」につまずきの多い、学習障害の中核となっているのは「ディスレクシア:dyslexia 読み書き障害」と呼ばれています。
 
 

発達障害のチェック アスペルガー症候群

 
自閉症スペクトラムの代表的な障害の一つであるアスペルガー症候群は、知能に遅れがないにも関わらず、対人関係の困難や限定された興味・こだわりなどの特徴がみられる発達障害です。
 
病院でアスペルガーの診断を受ける場合、子どもや本人の行動パターンや思考パターンなどを総合的に考え、いくつかの知能検査などの結果も踏まえて診断されます。
 
しかし、知的な遅れの見られない発達障害は発見されにくく、「病院に行くほどのことでもない」として放置されることもしばしばあります。
 
そこで病院に行くのは気が引けるけれど、ちょっと気になる行動があるような場合に、アスペルガーの傾向があるかどうかチェックできる項目をご紹介します。
 

発達障害のセルフチェック項目

 
《対人コミュニケーション》
アスペルガーの人は相手の喜怒哀楽を読み取ることが難しく、いわゆるKY行動をしてしまいがちです。対人コミュニケーション上でチェックする項目としては以下のようなものになります。
 

  • 1.表情、ジェスチャーなど非言語によるコミュニケーションが難しい
  •  

  • 2.同年代の友人が余りいない
  •  

  • 3.他人と興味・関心のあることをシェアする事に積極的ではない
  •  

  • 4.他人の気持ちへ共感を示す事が、非常に少ない

 
 
《偏った興味・こだわり》
アスペルガーの特徴として、特定のパターンに執着し、このパターン外の状況だとパニックになる事があります4)。
 

  • 5.行動や物の配置などのパターンに、とらわれる
  •  

  • 6.余り意味のないルーティーンなどを行う事に、異常に執着する
  •  

  • 7.特に意味のない動作を繰り返しがちである
  •  

  • 8.物の全体ではなく、一部分へマニアックな興味を示す。

 
以上の8項目のうち1~4の2つ以上、さらに5~8の1つ以上に該当する場合、アスペルガー症候群の可能性を疑うべきでしょう。
 
 

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アスペルガー症候群のセルフチェックにおける留意点

 
上述項目によるアスペルガー症候群のセルフチェックを行う場合、以下の4点を前提として行います。
 
1.言葉の発達の遅れがない
 
2歳までに一つ以上の言葉(「ママ」や「ブーブー(車)」などの単語)を話し、3歳までに二語文(「まんま 食べる(ご飯を食べる)」など2つの単語でできた文)を話しているとき、遅れがないとします。
 
2.知能に遅れがない
 
通常、IQ70以上を基準としますが、知能検査を受けていない場合には、一般的な同年代の人と比べて極端に学習などに遅れが見られないことと考えましょう。
 
3.その他の面で発達の遅れがない
 
自己管理能力や好奇心、状況への適応能力などが年相応にみられることです。
 
4.社会生活を送る上で困難が生じている
 
 

発達障害のチェック:ADHD

 
ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの症状が特徴的な発達障害です。
 
ADHDの人は物事に集中して取り組むことが難しかったり、場所に関係なく常に動き回ってしまったり、考える前に思いついたことを行動に移してしまったりします。
 
その結果クラスで浮いた存在になってしまったり、会社で「使えない人」のレッテルを張られてしまうことがあります(5)。
 
ADHDであるかどうかをチェックするには、普段の行動を振り返って「不注意」「多動性」「衝動性」の特徴に当てはまる行動が多くあるかどうかを調べます。以下にセルフチェック項目を示しました。
 
 

ADHDのセルフチェック項目(1)

 
《不注意に関する項目》
 

  • 1.身だしなみを整えるのに時間がかかる
  •  

  • 2.家庭で宿題を終了させられない
  •  

  • 3.食事の時落ち着きがない
  •  

  • 4.(12歳未満の場合)親の指示に従えず、就寝前の読み聞かせなどを行う事は困難である

 
ADHDの患者は1つのことに集中し続けるのが難しく、集中力が続かなかったり、次々と注意の向く先が変化し、作業が手につかないことが多いです。
 
《多動性に関する項目》
 

  • 5.朝食時に、年齢で求めれる行動をとれない
  •  

  • 6.授業中、周りの子どもと同じ行動をとれない
  •  

  • 7.就寝がスムーズにできない

 
ADHDの人は体の一部をいつも動かしていないと落ち着かず、座っていてももぞもぞとしたり、授業中に席から立って歩き回ったりします。
 
《衝動性に関する項目》
 

  • 8.朝、起床する際、布団から直ぐに出ることができない
  •  

  • 9.家族との登校前のトラブルが頻発する
  •  

  • 10.家族と口喧嘩によくなる
  •  

  • 11.日々、混乱や口げんかが起こる
  •  

  • 12.保護者は、安心して子どもと買い物ができない

 
ADHDの人は衝動的に行動してしまうことが多いため、思ったことをすぐ口に出して喧嘩になってしまったり、突然親の手を離れて駆け出してしまったりします。
 
《その他の項目》
 

  • 13.学校へは行きたくない
  •  

  • 14.学校に友だちが少ない
  •  

  • 15.学校で起こった事を保護者に説明する事が苦手だ
  •  

  • 16.同年代の友人が少ない
  •  

  • 17.同年代と一緒に取り組むスポーツやその他活動に自信を持って参加できていない
  •  

  • 18.(12歳以上の場合)同年代と遊んだり、スポーツをしたり、勉強を夜行う事が困難である
  •  

  • 19.夜中に頻繁に目が覚める
  •  

  • 20.自信の欠如、情緒の不安定さが感じられる

 
「不注意」「多動性」「衝動性」の中核的な症状からくる行動が積み重なった結果、対人関係に問題を抱えることが多いです。
 
また年相応の行動がとれないことから、親や教師から起こられることが多く、その結果自分に自信がなくなってしまうことがあります。
 
 

発達障害のチェック:LD

 
LDは、知的エリアや発達において遅れは認められないが、読む・書く・聞く・計算するなどの学習については、著しく困難となる障害です。
 
例えば、習った文字を読めない、読めたとしても書けない、計算ができない、相手の言っていることがうまく聞き取れず、意味が分からない、といった具合です。
 
 ここではLDの人に見られる障害の特徴を、領域ごとに項目で紹介します。
 
《「読む」領域》
 

  • 1.読むスピードがとても遅い
  •  

  • 2.同じセンテンスを繰り返し読んでいることが多い
  •  

  • 3.行、単語を確実に読まず飛ばすことが多い
  •  

  • 4.文意を間違って解釈することが多い
  •  

  • 5.語尾や表現をオリジナルの文章とは変えて読むといったおかしな読み方をする

 
《書く領域》
 

  • 1.読みにくい文字を書く
  •  

  • 2.句読点の打ち方が不自然
  •  

  • 3.長文を書く事は困難
  •  

  • 4.誤字脱字が非常に多い
  •  

  • 5.漢字の記述において正確性に大きく欠ける

 
《計算の領域》
 

  • 1.分数、小数の大小を判断する事が難しい
  •  

  • 2.繰り上がり、繰り下がり計算が困難
  •  

  • 3.シンプルな計算でも暗算が出来ない
  •  

  • 4.複雑な計算式は理解する事が、難しい
  •  

  • 5.計算問題をに要する時間が異常に長い

 
《話す領域》
 

  • 1.抑揚、声のトーンが奇異
  •  

  • 2.表現において、単語の羅列が頻繁に行われる
  •  

  • 3.不正確に発音する事が多い
  •  

  • 4.しゃべる速度に問題がある(非常に早口、たどたどしい等)
  •  

  • 5.話をしているとき、言葉に詰まってしまう事が度々おこる

 
 

発達障害のチェック セルフチェックの注意点

 
各発達障害のチェック項目を紹介してきましたが、セルフチェックは正確な診断ではなく、あくまでその発達障害の傾向があるかどうかを示すものであることに留意してください。
 
たとえセルフチェックで「発達障害の傾向が強い」という結果は、参考として、医師による正確な診断を受けるようにしましょう。
 
 

発達障害の診断方法

 

知的障害

 
知能検査と適応機能評価、問診、子どもの場合は学業成績などを加えて総合的に評価して、軽度・中度・重度・最重度に分類される。
 
また、症状の評価とともに、原因疾患の検索も併せて行われる。
 

自閉スペクトラム症

 
<子どもの場合>
児童精神科や小児神経科などで専門医が診察し、子どもの発達歴、ふだんの様子、診察室での観察、親への面接、育児日記、幼稚園などの先生からのコメント、さらには、心理テストなども用いられる。
 
その結果、自閉症の可能性が高い場合は、DSM-5などの診断基準に照らす。
 
<大人の場合>
知能検査、身体疾患の有無、併存障害の確認などの後、AQと呼ばれる「自閉症スペクトラム指数」をチェックしたり、出生時の状況、自分の性格、家庭環境・家族構成、生育歴、学童期のいじめや不登校の有無、既往歴、現在の自分の状態、職場の様子などを聴取され、総合的に診断される。
 

注意欠如多動症

 
<子どもの場合>
上記、自閉スペクトラム症と同様の各種検査を行い、可能性が高ければ診断基準に照らす。なお、自閉症やアスペルガー症候群などほかの障害との鑑別が重要。
 

<大人の場合>
基本的に子どもと同じ検査等が行われる。ただし、大人のADHDの専門医は少なく、それもあって、CAARSと呼ばれる大人用のADHDの評価尺度が、診断基準と一緒に用いられることもある。
 

学習障害

<子どもの場合>
学校で気づかれることも多い学習障害。
 
知的能力の評価、国語など基礎的能力の評価、医学的な評価、他の障害との鑑別やディスクレシアのスクリーニング検査なども併用され、小児神経科などでほかの障害同様、総合的な診察を受ける。文部科学省の判断基準も参照される。
 
<大人の場合>
学習障害は、本人が自己認識ができ、自分で問題点を修正・補正することが可能なので、これだけなら、成人期まで病態を持ち越すケースは少ないとされている。むしろ、自閉症スペクトラムやADHDと併存しているケースが多くみられるとのこと。
 
 

発達障害の治療

 
発達障害の治療については、子どもか大人かといった分け方よりも、障害の多様性から、個別にケアをしていくことが重要となります。それを踏まえて、基本的は次のようなケアが行われています。
 

  • ・症状に対しては薬物療法
  • ・適応的な認知や行動の動機づけには認知行動療法
  • ・社会生活への適応には環境改善法

 
また、脳の機能障害は医学的に完治することは至難なので、早期発見によって適応化させる「療育:治療教育」が重要視されてきました。
 
子どもの場合は学校や家庭で、大人の場合は職場や地域社会などで、さまざまなかたちで治療的教育が必要となってきます。
 
もちろん、こうしたケアをするにあたって、周囲の方が「わがままだ」「なまけている」「なめている」「おかしなやつ」といった誤解を捨て、理解し支援的に関わっていくことの重要性は言うまでもありません。
 
 

発達障害の二次障害

 
発達障害への対応が十分でないことから、二次的に別の障害や疾患を引き起こすことが少なくありません。
 
その大きな理由として、周囲に理解されず、適切な支援を受けることができなかったことが挙げられています。
 
◆二次障害として表れやすい症状
 
・タイムスリップ現象
過去のつらい記憶がよみがえり、パニックや自傷行為に及ぶ
 
・薬物乱用
覚せい剤やシンナー、向精神薬への依存や、薬の多量服用(オーバードーズ)
 
・ひきこもり
人とのかかわりが苦痛になり自宅に引きこもってしまう
 
・うつ病
抑うつや興味の減退ほか、睡眠障害※1、倦怠感、便秘、めまい※2、頭痛などの身体症状に悩む。自責感も強くなる場合もある
 
※1編集部注:睡眠障害について詳しく説明した睡眠障害.tokyoも参考にしてください。
 
※2編集部注:めまいの原因について詳しく説明しためまい原因.topもご覧いただけると幸いです。
 
・アルコール依存症
アルコールを精神安定に用いて、ひどくなると幻覚や妄想をきたす
 
・ネット依存症
ネットの世界にハマり、コントロールできなくなってほかの依存症と同じ症状をきたす

 
・反抗心がつのって、イライラがこうじて反抗挑戦性障害にいたる
 
・さらにエスカレートすると、人や動物、建物などを破壊したり、重い規則違反や嘘や窃盗を重ねるなどの「行為障害」に進展する
 
・ストレスがかさむことで、不安障害や強迫性障害になる
 
このような二次障害は、元の発達障害よりも問題が深刻になるケースもありますし、周囲の理解があることで予防することもできなくはないところがポイントです。
 
 
<執筆者プロフィール>
須賀 香穂里(すが・かほり)
神奈川大学人間科学部・人間科学科所属。社会心理学や人間関係をテーマとした執筆活動を行っている
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

編集部オススメリンク(外部リンク)

 
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◆厚生労働省が運営する、生活習慣病予防のための健康情報サイト『e-ヘルスネット』では発達障害について、症状や治療などについて紹介されています。

 
◆発達障害との向き合い方について医師が解説した動画
 

 
◆Mocosuku運営の姉妹サイト
 
「アスペルガーの症状 :特徴的な症状を理解して適切な対応を」
 
「自閉症スペクトラム (ASD)とアスペルガー症候群との関係は?」
 
「自閉症の診断 はどのように行うのか? 診断基準と検査の方法とは?」
 
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